昨今タワーマンションによる相続税節税が裁判にまでなり、お茶の間を騒がせています。直近の令和4年4月に最高裁判決も下ってしまい、タワマンを使った相続税対策を企てていた方々は戦々恐々としているのではないでしょうか?今回は、ずばり「タワマン節税について」のコラムです。
タワーマンション節税 相続税対策としての有効性
タワーマンションが相続税対策といわれるワケ
なぜタワーマンションは相続税対策にぴったりなのでしょうか?
平たくいうと実勢価格(取引価格)と相続税評価額に大きな乖離があるからです。
例えば大きな場合では、実勢価格が相続税評価額の5倍以上にもなります。
これはお得ですねえ。
タワーマンションに限らず、令和5年6月に国税庁が発表した資料では、実にマンションの65%以上が実勢価格が相続税評価額の2倍以上となっているとのこと。
ただでさえマンションはこれだけの相続税節税効果があるのにタワーマンションとなると効果てき面です。
これは魅力的ですよね。
やらない理由がない。
タワーマンションは建物を上に伸ばすため、通常のマンションと比べて一戸当たりの敷地面積が狭くなることが一つ目の相続税評価額の減額要因です。
次に階層です。
低層階は大したことないのですが、タワーマンションの相続税評価額は低層階も上層階もほぼ同じ(正確には固定資産税評価額は上層階ほど高いです)。
一方で実勢価格は大きな差があるのです。
1階と30階は大きく違いますよね。
確かに建築費は同じなんですけどね。
この辺の判断は難しいところです。
タワーマンションの実勢価格としての相続対策
節税だけではない?タワーマンションの真の価値とは
この相続税評価額と実勢価格の乖離を問題視した国税庁はタワーマンションの評価を見直そうと躍起です(もちろん厳しく)。
そりゃそうですよね。
国税庁にいわせれば取りっぱぐれてるわけですから。
では相続税対策として、これからタワーマンションの購入は控えるべきなのでしょうか?
そんなことはない、といえます。
なぜならばタワーマンションは相続税対策を度外視しても所有者にとってのメリットが大きいからです。
①希少性、②利便性、③コスパ、④資産性が高いからです。
以下で順に説明します。
タワーマンションの魅力 希少性
まずは希少性です。
いわずもがなタワーマンションの歴史はまだ浅いんです。
あんな高層建築物が戦国時代からあったでしょうか?
ないですよね。
タワーマンションの建築が始まってから、まだせいぜい20年くらいではないでしょうか。
一方で通常のマンションは70年以上前から建築が始まっています。
統計がないので正確に分かりませんが、マンション総数に占めるタワーマンションの割合は5%にも満たないでしょうか。
物価は需要と供給のバランスで決定されるのは経済学では常識です。
希少性が高いことは価格が高止まりする最大の理由の一つです。
タワーマンションに限らず、希少性は価値を押し上げる重要な要因の一つなのです。
タワーマンションは適地が少なく、商業地のように限られたエリアにしか建たたないため、通常のマンションと違って将来的に林立することもないでしょう。
また、建築費総額が多額になり、販売戸数も多いため、基本的には地価が高く、人気がある都心部にしか建たないのです。
このようにどこでも建てられるわけではないため、今後もマンション総数に占めるタワーマンションの割合が上がっていく可能性は著しく低いです。
タワーマンションの魅力 利便性
次に利便性です。
これは一般論になりますが、タワーマンションが建つ立地はく大通りに面しており、駅近の物件も多いです。
これは再開発の際には、駅周辺または駅直結でタワーマンションが建てられることが要因と考えられます。
再開発の場合、周辺にショッピングモールなどの商業施設、物販や飲食店などのサービス業の店舗が出店することも利便性を高める要因です。
駅近でなくても接面している前面道路の幅員が広いため、車での出入りが楽です。
また、あの高さが建つ用途地域は商業地域またはそれに準ずる地域となるため、周辺にスーパーマーケット、ドラッグストア、託児所などの生活施設が充実していることが多いです。
なんならマンション内にスーパーマーケットやドラッグストア、託児所に加え、ジムやスパ、プール、パーティースペースなんかもあったりしますよね。
なのでとにかく便利な物件が多いのも魅力の一つです。
タワーマンションの魅力 コスパ(スケールメリット)
次はコスパです。
え?コスパ?と思ったあなた、大きな誤解です。
タワーマンションはコスパ抜群なんです。
順に説明しますので焦らず読んでください。
コスパは購入時と購入後の2つに分けられます。
まずは購入時ですが、タワーマンションは通常のマンションと違い、分譲戸数が多いです。
すくなくとも100戸、多ければ2000戸なんて規模もあったりします。
ざっくりいうと、販売経費は戸数が少なかろうが多かろうが同じです。
戸数が多ければ多いほど薄まるのです。
モデルルームが一番分かり易いのではないでしょうか。
総戸数が20戸と100戸のマンションでモデルルームが1つであれば単純にこのコストは1/5ですよね。
建築費もH鋼、コンクリートなどの構造物から窓、ドア、ユニットバスなどの建材や設備まで大量に発注するので単価を下げることができます。
要は小規模マンションと比べて原価を限界まで下げることができるのです。
まさにスケールメリットってやつです。
あとは販売するデベロッパーの要因です。
販売戸数が多ければデベロッパーは売れ残りを嫌がるため、強気の値付けを避ける傾向にあります。
また総戸数が多い大規模プロジェクトの場合、目標とする利益額が決まっているため、利益率は低く設定する傾向もあるんですねえ。
お得です!
まだまだ終わりませんよ~。
取得後もあるんです!
これは修繕積立金と管理費の安さと共用部分の充実度です。
タワーマンションの住戸数は通常数百戸単位です。
みんなで仲良く修繕積立金と管理費を負担するんですね。
そうすると一戸当たりの負担額がぐ~と圧縮されるんです!
総戸数20戸しかない小規模マンションと200戸あるタワーマンションでは10倍、は変わりませんが下手したら倍は変わります。
管理費の大半は人件費なので、戸数が増えれば増えるほど割安です。
また修繕積立金の使途は共用部分なのでこれまた戸数が増えれば増えるほど割安になるんですねえ。
建物は小さくても大きくても一棟は一棟なんですよ。
総額が大きくなればスケールメリットで大幅にディスカウントされる理屈は購入時とお同じですねえ。
さらに安くなった上に共用部分にジムやゲストルーム、展望ラウンジやバー、パーティースペースなんてものもあったりします。
さながらホテルのようです。
海外、主にアジアのコンドミニアムとよばれる仕様に似てますね。
海外での居住者は富裕層しかいませんが、東京のタワーマンションには庶民が住めるのも実は東京の隠れた魅力。
海外ではコンドミニアムに庶民は住んでません。
管理費は安く、共用部は充実していて設備はハイグレード!
いいこと尽くめですね!
タワーマンションの魅力 資産性
さて、今までに、希少性、利便性、コスパを説明してきました。
ってことはですよ、当然に資産価値が高い、ってことになりますよね、普通は。
そうなんです、資産価値が高いんですよ、タワーマンションは。
相続税対策としての節税効果がフォーカスされるタワーマンションですが、実はそのポテンシャルたるやそんなもんじゃないです。
さらに物件を選べば資産価値は上がっていくのです。
つまり、相続時には相続税が節税できる上に、相続後に即売却しなければ将来的には値上がりが見込めるって、夢のような資産なのです。
タワーマンションならぬ、ドリームマンションですね!
特に上層階は人気です。
タワーマンションの魅力といえば、なんといっても眺望でしょう。
地上247m、52階からの眺めは圧巻です。
あなたを為政者のごとく激しく勘違いさせるでしょう。
タワーマンションは大幅な価値の上昇が見込めるだけではなく、通常のマンションと比べると価値の下落もなだらかです。
やはりドリームマンションですねえ。
買わなきゃソンソン!
節税効果も抜群な資産性の高いタワーマンションの選び方
ここまで書いたので出血大サービスです。
将来的に大幅な価値上昇を見込めるタワーマンションの選び方を特別にお教えします。
これらを抑えれば相続税対策としての節税に限らず、相続後も安心です。
以下、重要な順番です。
①都心部
②駅近(駅直結サイコー)
③専有面積40㎡以上
④共用部
まずは①立地です。
当然に都心部が最強です。
港区、渋谷区、千代田区なら無敵ですね。
例外もあります。
地方都市でその都市にはタワマンが一棟しかない、な~んてのも希少価値があって、そのエリアとしてはめちゃくちゃな高値で取引されたりします。
地方には富裕層の方々が一定数いるものでして、この方々が買うんですねえ。
やはり金持ちは着眼点がシャープです。
決して損をするような投資はしません。
ただし、外国人は買いにこないので価格の上限値は低いかもしれません。
次が駅距離。
駅直結は最強です、無敵です。
尤も庶民からの視点なんですが、ゆうても世の中は富裕層よりも庶民が大半です。
大多数の庶民の利便性を担保することは大切なファクターなのです。
突き抜けた富裕層は電車なんか乗らないのかもしれませんが、富裕層の中にも移動は公共交通機関という庶民派も一定数います。
タワーマンションに限らないのですが、マンションは管理を買え!ではなく、利便性を買う!でもあるのです。
マンションは戸建てと違って住宅街ではなく、商業地域にあるから利便性が高いんですよね。
周囲になんでもありますから。
都心部では駅近イコール便利ってことなんです。
いくら駅から近くてもローカル線の駅で周辺に何もなければ意味がないのです。
次は専有面積です。
これも庶民目線。
単に住宅ローン控除の対象になるか否かってことです。
超富裕層や外国人はキャッシュかもしれませんが、日本のタワーマンションはちゃ~んと庶民のためにも部屋を用意してくれてますから。
そうしないと何百戸も捌けないので。
最低販売価格が数億円のタワーマンションは非該当の要件です。
タワーマンションに限らず、不動産の売買においてローンが借りられるか否かは価格を構成する大きな要因なのです。
最後は共用部。
これは日本人、というより外国人からの視点かもしれません。
ラウンジ、ジム、スパ、プールなどは使うかどうかはおいといて、ラグジュアリー感を演出する施設はあることに意味があるのです。これは実質本位な日本人には理解できないかもしれません。
億超えのタワーマンションの買主は半数程度が外国人という噂があるくらいなので、外国人の嗜好が少なからず価格の構成要件となります。
この視点は必ず持ちましょう。
タワーマンションについて詳しく説明しましたが、いかがでしたか?
相続税対策だけではなく、ここまで資産価値が高いことをご存知だったでしょうか?
タワーマンションを購入しておけば、大きな節税効果が見込めるだけではなく、相続人の資産形成にも大いに役立つのです。
タワーマンションへの相続税強化が議論されていますが、一部では慎重な見方もあります。
制度の盲点を突いた合法的な対策なのですから当たり前ですよね。
ただし、方向性としては課税強化されることはまず間違いないのですが、上記理由より、それを理由に断念する必要もまはないと考えます。
タワーマンションはじめ、不動産を用いた相続税対策にご興味があれば当センターまでご相談ください。
このコラムを書いた人
センター長冨田 豊久
経歴
- 三菱地所リアルエステートサービス(現)
法人向け売買仲介・コンサルティング - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(現)
不動産ファンド組成・ノンリコースローン貸付 - みずほ証券
不動産ファンド組成・CMBS組成・REIT上場・自己資金運用 - シン不動産DX株式会社設立
20年以上に渡り、個人、法人のお客様と一室数百万円のマンションから一棟1,000億円超のオフィスビルまで合計3,000億円以上の不動産取引に携わりました。お客様の想いを大切にする、お客様に損をさせない、を徹底します。不動産・金融のプロフェッショナルとしてお客様が満足するサービルを提供することをお約束します。
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