法定相続情報証明をご存じでしょうか。相続関係の手続きを行う際非常に便利な制度です。一言でいうと従来の相続手続きでは、戸籍の束を銀行や役所に提出する必要がありましたが、それがこの【法定相続情報証明】1通で代用できるのです。非常に有用な書類ですので理解を深めて頂ければと思います。
法定相続情報証明について
相続手続きが飛躍的に効率的に行う事が出来る!
本制度は、2017年から始まった比較的新しい制度です。相続関係を示す戸籍謄本、住民票等(従来相続登記に必要であった書類とほぼ同じ)を、相続関係を示す家系図のような書類(戸籍の束から自ら作成する)と一緒に法務局に提出します。戸籍等公的な書類を法務局が全て確認し、申請人が作成した相続関係を示す資料に間違いがないことを確認すると、その資料に法務局が認証印を附して発行します。これが法定相続情報証明です。大体2週間程度で法務局の審査は終了します。法務局はこの法定相続情報証明を必要枚数発行します。
この書類の最大の効果は、銀行の口座承継手続き、不動産の相続登記、株式の承継等の手続き同時並行的に進めることが進めることが出来るようになった点です。通常役所から各戸籍は1通しか取得しないかと思いますので、手続きは直列的に進める事しかできませんでした。A銀行が終わったらB銀行、その次はC銀行といった具合でした。しかし法定相続情報証明を複数枚準備すれば、A銀行、B銀行、C銀行の3銀行へ同時に手続きが可能になりました。
相続関係説明図との違いは?
時々質問を受けます。この法定相続情報証明は、通常の相続登記の際に作成する相続関係説明図とどう違うかという事です。結論は、両者外見も本質も大きく異なります。相続関係説明図は法務局に戸籍を簡易に原本還付させるための書類です。また、記載すべき内容も法定相続情報証明では、既に亡くなった相続人ではない者は記載しない(代襲相続における本来であれば相続人であった者)など、ご自分で作成する場合には、法務局の示すヒナ形を確認するなどの必要があります。
最後に
不動産相続登記の義務化を令和6年4月1日に控え、相続登記への関心は高まっていると感じております。法定相続情報証明を活用し必要書類を共通化することで、不動産の相続手続きも預貯金の承継と同じような流れで手続きを進めて頂ければと思います。代理人による作成も可能ですので、法定相続情報証明の作成に当たり、ご不明な点が有ればお問合せ下さい。
このコラムを書いた人
司法書士向山昭彦
経歴
- 2018年司法書士試験合格
- 2019年1月~2022年12月 司法書士法人勤務 (中野支部所属)
- 2023年1月 大松法務司法書士事務所開設 (台東支部所属)
相続に関する法律や手続きは、一般の方には分かりにくい内容かと思います。疑問に思われる事、不安に感じることがございましたらいつでもご連絡下さい。
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