相続不動産の注意点! 生前対策としてやるべきこと

相続不動産の注意点! 生前対策としてやるべきこと

相続を原因として発生する不動産の相続。
元気なあなたは時期尚早や!と思っているかもしれませんが、やるべきことがあるのです。
これは相続という観点だけではなく、あなたの資産防衛のためでもあるのです。
さあ、それは一体なんでしょうか?
今回は、「相続不動産について生前対策としてやるべきこと」についてのコラムです。

相続不動産の種類と対応

本コラムのタイトルは「相続不動産」と冠していますが、今回対象となるのは、区分所有権といわれるマンションなどの一室を除く、土地(底地含む)、戸建て、ビルなどの土地を所有権とする全ての不動産です。
逆に言えばマンションの一室は対象外ですので、マンションしか持ってないよ~という方は、今回は残念ながらスキップして下さい。
なぜかというと、土地に関する対策だからです。

相続不動産の生前対策としてやるべきこと 
商品化① ~土地の境界確認~

あなたは平穏な生活を送っているとお喜び申し上げます。
本件は生活に支障は全くありません。
しかし、将来的には人生への影響は果てしなく大きい!
相続は想定できる将来としても人生は不確実、何が起こるかわかりませんよね?
備えあれば憂いなし!です。
前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
相続が目前に迫っていなくても、戸建てなどの不動産所有者であればやるべきことがあります。
自身の不動産が完全な売り物、換言すると商品となっているかの確認です。
売る気もないのに商品?と訝し気になったあなた、当然です。
自分のモノなんだから既に商品化してるよ!と怒ったあなた、当然ですが不正解です。
これはどういうことか、というと築古の戸建てやビルはマンションの敷地と違い、隣地との境界が確定していない可能性があるのです。
つまり、隣地との境界が確定していない = あなたの所有する不動産の土地の面積(地積)が確定していないのです。
あなたの所有地が50㎡なのか100㎡なのか確定していなければ、買う側は値段がつけられないですよね?
所有する土地の全ての隣地(道路含む)と境界確認書を取り交わし、確定測量を行い、あなたの土地の面積を確定させましょう。
引渡条件を「現況有姿」といって所有地の地積が確定しないまま売却することも可能ですが、売り急ぎでない場合はお薦めしません。
よほど人気の好立地であれば別ですが、間違いなく足元を見られて安くなるからです。

相続不動産の生前対策としてやるべきこと
商品化② ~土地の境界確認~

前述より、商品化の一環として、まずはあなたが所有する土地の地積を確定させましょう。
この行為は、不動産を売るためだけではなく、資産価値の向上には必須であるため、売却予定がなくてもやりましょう。
まずは隣地との「境界確認書」と「確定測量図」の有無を確認して下さい。
あなたの所有する家やビルが築20年程度以内であれば存在する可能性は高いです。
もしくは隣地の建物が比較的新しい場合は、少なくともその隣地所有者とあなた、または前所有者との間で「境界確認書」が取り交わされている可能性が高いです。
ただし、商品化のための境界確認書は全ての隣地との間で取り交わされている必要があります。
一部の隣地との取り交わしがなければ、あなたの所有する土地の地積が確定しないからです。
いや待てよ、「地積測量図」って図面があったなあ~、と思い出したあなた、なかなか鋭いです。
紛らわしいのですが、「地積測量図」と「確定測量図」は全くベツモノなのです。
地積測量図は法務局に備え付けれている公文書ですが、昔の測量技術で正確性を欠いていたり、隣地の立ち合いが必須ではないため、不正確です。
ただし、2005年3月7日以降に作成された地積測量図は隣地の立ち合いが必須となっているため、正確性が担保されています。
また図面の名称はこの2点以外にも「現況測量図」などがありますが、いずれも売却には役に立ちません。
隣地の立ち合いがないため境界が担保されておらず、ただ測っただけ、という図面だからです。

相続不動産の生前対策としてやるべきこと
商品化③ ~土地の境界確認~

相続などでかなり前に所有権を取得した家やビルの土地は、隣地との「境界確認書」と「確定測量図」がないことが多いです。
適当に測って、この辺までが自分の所有地や!と勝手に主張して家やビルが建てられていた古き良き時代もあったんですねえ。
ところが今はそうはいかないのです。
しっかりと隣地所有者と境界を確定させなければいけませんよ。
そのような時代だったため、隣地と所有者立ち合いの下で測量したら、自分の土地だと思っていたのに、実は隣地だった、なんてこともあるので注意が必要です。
見てくれと実際の権利は違うこともあるのが不動産のコワイところです。
人間と同じですねえ。
さて、あなたの隣地所有者は何人いるでしょうか?5人ですか?10人ですか?
少なくとも1人だけというのはかなりのレアケースで、一般的には複数人います。
隣地所有者がみなさん都合よくそこに住んでいる可能性は低いです。
海外に行ってしまって連絡がつかない、死亡して相続されたが相続登記が未登記なんて状況があれば、境界確認に立ち会ってもらうことは困難極まりないのです。
ゆえに「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には膨大な時間がかかるのです!
隣地所有者が10人もいたら、み~んないい人だったらサイコーですが、まずそんなことはありません。
1人くらいはいいい人ではありません。
しかも東京の一等地であれば1坪何百万円、下手したら何千万円です。
金が絡めば人も変わるのです!
ということで、昔の株主総会のように、隣地との立ち合いは、しゃんしゃん、とは終わりません。
必ずモメル!と考えておきましょう。
もめない前提でも「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には最速3ヵ月は必要です。
もめて境界確認書にハンコ押さない!という隣地所有者が現れたら?おめでとうございます!裁判になります。
こうなると1年はかかるんですよね~。
ということで、もめない前提のベストシナリオで半年間、もめたら1年以上かかる、と覚えておきましょう。
もめないためにも、ご近所付き合いは大事です。
日頃から愛想よ~く挨拶しましょう。
顔合わせても知らんぷり、でも境界確認書にハンコ押してください!は都合良すぎるでしょう。

相続不動産の生前対策としてやるべきこと
商品化④ ~土地の境界確認~

感動の超大作もいよいよフィナーレを迎えます。
本章はフィナーレに相応しい内容となっておりますので心して読んでください!
上述より、土地の境界を確定するということがどれほど重要かご理解頂けたと思います。
一方で全ての隣地所有者から境界確認書を取り交わすことは容易ではありません。
ではどうしたらいいのでしょうか?
あなたが被相続人であれば、即行動しましょう。
あなたが相続人であれば、被相続人(恐らくはご両親)と一緒に本コラムを読み、被相続人に行動してもらいましょう。
これには理由があります。
被相続人は恐らく高齢者、そして居住者だと思われます。
居住者であれば隣地所有者とも顔見知り、挨拶くらいはする間柄、もしくは顔を知っていることだけでも重要なのです。
これが相続発生により相続人に相続されれば、隣地所有者とは顔も知らない、しかも察しのいい隣地所有者は棚ぼた相続で財産を手に入れたいけ好かないやつ(あなた)、という認識で意地悪される可能性が十分あるんですよ。
被相続人が高齢者であれば、妻、息子、娘の家族思いのいい人かつ老い先短い可哀そうな老人ってことになり、境界確認書にハンコもらえる可能性が飛躍的に高まります。
これって案外大事なんですよね。
境界確認書の取得は相続後より相続前の方が圧倒的にハードルが低いです。
物事なんでもタイミングって、とっても大事ですよね。
いがみ合っている隣地所有者がいてもここは愛する家族のためにもあなたが大人になって頭を下げましょう。
菓子折りの一つも持参して今までのことは水に流し、ともに未来を歩みましょう!と頭を下げて手を差し出せば相手も人の子です。
快諾、とはいかないまでも不承不承、対応してくれることでしょう。
生きているうちに残される家族に対する義務と責任を全うしましょう。
これを機に境界確認をネタにして、家族の絆も確認しましょう!
境界も家族の絆もがっちり固めちゃいましょう!

今回のコラムはいかがでしたか?
意外な盲点だったのではないでしょうか?
上記のように、所有の土地はまずは完全なる商品化が最重要事項です。
円滑な相続のためにも今すぐ始めましょう。
当センターでは土地家屋調査士と連携し、「境界確認書」と「確定測量図」の取り交わしと作成をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。

このコラムを書いた人

センター長冨田 豊久

経歴

  • 三菱地所リアルエステートサービス(現)
    法人向け売買仲介・コンサルティング
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(現)
    不動産ファンド組成・ノンリコースローン貸付
  • みずほ証券
    不動産ファンド組成・CMBS組成・REIT上場・自己資金運用
  • シン不動産DX株式会社設立

20年以上に渡り、個人、法人のお客様と一室数百万円のマンションから一棟1,000億円超のオフィスビルまで合計3,000億円以上の不動産取引に携わりました。お客様の想いを大切にする、お客様に損をさせない、を徹底します。不動産・金融のプロフェッショナルとしてお客様が満足するサービルを提供することをお約束します。

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